[短編]砂糖彼氏と塩彼女
「向井さんは?1人?」
「あー、うん。親戚の家に行ってきた帰りなの」
しばらくたわいのない話をしていた。
「……佐藤」
声の方に視線を向けると、暗い表情の紗羅。
「あ、紗羅」
「もしかして彼女さん?それじゃあわたしはお邪魔だね。バイバイ佐藤くん」
「あ、じゃあね向井さん」
もしかして、また逆ナンだと思わせてしまったかもしれない。
朝約束したばかりなのにそれはいけない。
その考えが頭をよぎるも、向井さんに急に冷たくすることはできなくて、少しぎこちない笑みで手を振った。
「今の人、友達?」
「うん。中学の時同じクラスだった子だよ」