[短編]砂糖彼氏と塩彼女
「紗羅。大好きだよ。僕には紗羅だけ」
俯く彼女のとなりに腰を落とし、そっと抱きしめる。
「うん……」
「紗羅。渡したいものがあるんだけど、受け取ってくれる?」
「ん?」
一旦紗羅から離れ、カバンの中の小さい袋を出す。
「これ。開けてみて」
少し震えた手で包装紙をほどいていく。
「これ……」
「もうすぐ半年だから、僕からプレゼント」
僕が紗羅にプレゼントしたのはネックレス。
シルバーのチェーンにシンプルなハート型の飾りがついたもの。
「後ろ向いて」
紗羅の手からネックレスを取り、首につける。
「ありがとう。でも、わたしなにも用意してない」