[短編]砂糖彼氏と塩彼女
「紗羅、ごめん。何回も断ったんだけどしつこくて」
少し不機嫌顔の紗羅に必死で説明する。
「……良いよ。今度から気をつけてね」
口を尖らせながら、とても「良いよ」とは思っていなさそうな口調。
「嫉妬した?」
「した」
僕が聞くと即答。
「そっか、ごめんね」
「良いよ。早く行くよ。……わたし映画館でチュロス食べる」
彼女から手を握られ、少し悲しそうな目と目が合う。
可愛い……
「うん。行こうか。何味がいい?何個でも買ってあげる」
「……チョコ」
「ポップコーンも買おうか。キャラメルでいい?」
「うん」
やっぱり素直で可愛い紗羅に、僕は勝てない気がする。