死んでもあなたに愛されたい



こんなところで言霊を発動させることになるなんて……。


あたしが悠長にやられてたせいだ。

数滴の血を犠牲にしてでも、ナイフなんかすぐ取り上げたらよかったね。



妹の前で、かっこつけたかった。




「ひぃ、ちゃん……だいじょぶ?」




つぅちゃんが泣きそうになりながら、あたしの赤くも青くもなっている腕を見つめた。


弱々しい声音。

天女のような迫力は、もう、ない。



いつものつぅちゃん。

……とも、ちがって。




「つぅちゃんこそ、大丈夫じゃないでしょ」


「……へーき、だよ?」


「うそ」




顔色わるいよ。

言霊を使った反動で、ふらついてる。



双子そろって巻きこまれたのは、初めてだった。


だからよけいに護ってあげたくて。

あたしがそう思っていたなら、きっと。


つぅちゃんも同じことを考えていたんだろうね。




「もう、いいよ。ごめんね」


「ひ、い、ちゃ……」


「ありがとう」




腕を広げると、つぅちゃんがゆっくり寄りかかってくる。


ひさしぶりに力を使ったんだろうな。

走り疲れているときだったから、さらに体力を根こそぎ奪われたんだ。



無理させちゃったね。


情けない姉だ。


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