死んでもあなたに愛されたい



「ひとみ様! つむぎ様!」


「ひとみ! 無事か!?」


「遅くなっちゃったわね。敵は……」




赤羽くん、魁運、マユちゃん先輩がやって来た。



ハグしてる双子と、はしっこで平伏している男が5人。

この状況にみんなして「?」となっている。



そんななか、いち早く理解した赤羽くんが、あわてて駆け寄ってくる。




「つむぎ様! いかがされましたか!?」


「……わ、たし、は、なんとも……」


「ごめん。あたしのために力を……」


「力を!? それでつむぎ様が……」


「つぅちゃんのこと、頼んでもいい?」




安静な場所で休ませてあげたい。

黒く染まるヤツらのいないところへ。




「お任せください。つむぎ様、白鳥家に帰……」


「い、いや!」


「つぅちゃん」


「……わ、わたし、ほんとに、平気。街案内の続きを……」


「案内ならいつでもしてあげるよ。だから今回はおうちでゆっくりして? ね?」


「でも……」


「秋祭りでおどるんでしょ? 今は体調を万全にしなきゃ」




返事は?と促せば。

長い長い沈黙のあと、不服そうに「わかった」とポツリ。



すぐに赤羽くんが白鳥家の車を呼びつけた。

多少安定してきたつぅちゃんをエスコートしながら、先に帰っていく。


つぅちゃんは最後まで口惜しそうにしていた。




「ちゃんと姉ちゃんしてんだな」


「……全然だよ」




魁運がせっかくほめてくれたのに、素直に受け取れなかった。


姉面が上手なだけ。

あたしより妹のほうがよっぽど立派にやってるよ。


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