死んでもあなたに愛されたい
しばらくして、言霊の呪縛が解かれた。
男たちのほうも体力的、精神的にも殺られていて。
どうがんばっても仕返しできそうにない状態だった。
「さ~てと、お片付けしましょうかね!」
「あたしも手伝」
「だめだ」
速攻、魁運に断られた。
早っ! まだ言い終えてないよ!?
あたし、特に魁運の力になりたいのに!
「あぶねぇだろ」
「さすがにもう襲われないと思うし……」
「一回襲ったヤツらに近づくな。何かあったらどうすんだ」
「そうよ~? こういうのは慣れてるわたしたちに任せなさいっ」
あくまであたしの安全第一!
危険因子は遠ざけていくスタイル!
かわいい子には旅をさせよ、ならぬ、家にいさせろってね!
万が一、敵が懲りずに歯向かってきたら、今度こそ、けちょんけちょんに叩きのめして、言霊と関係なく土下座させてやるつもりだったんだけど……。
今のあたしは、超絶かわいいヒロインモード。
おとなしく下がっときまーす!
「わかったよ、あたし離れてるね。魁運、念のため気をつけてね? ケガしちゃだめだよ? あ、マユちゃん先輩も」
「わたしのついで感」
「もし魁運……と、マユちゃん先輩に何かあったときは、あたしが助けるからね!」
「だからわたしのついで感は何なのよ、ひとみん!」
マユちゃん先輩は置いといて。
すかさず、健気なヒロインアピール!
頼りがいがあるとこも見せておかなくちゃ。
腕に力をこめて、マッスルポーズをしてみせる。
すると、魁運の目が見開かれた。
「それ……!」
「え?」
ハッ!
もしかして、あたし、やっちゃった!?
筋力あるヒロインってナシ!?