死んでもあなたに愛されたい



反射的に腕を隠しても、魁運に引っ張り出される。


やっぱりナシだった!? ヒロイン降格!?

筋肉あるっていっても、マッチョじゃないよ? 意外とがっちりしてるなあ、くらいだよ!? だめ? ナシ!?




「この傷、どうした!?」


「……き、傷?」




筋肉じゃなくて、傷?

なんだ、そっちか!!!



んー、なんて説明しようか。


ここは心配させないようにごまかす?

いや、どうせバレるな。


それなら……!




「こ、これは……あ、あの男の人たちが、一方的に……っ」


「なんだと!?」




うそは言ってない、うそは。

後半、やられ役に徹してた。わざとね。


しおらしく震えて言ってみせたのは、ちょっとした脚色。




「それにしては、こいつらもけっこうボロボロよねぇ?」




うぐっ。
マユちゃん先輩、よけいなことを!




「赤羽が最初にぶちこんだんだろ」


「あ~、あの男子ね。すごく強かったわよね!」


「5人くらい一気に飛ばしてたしな」


「あれはなかなかの手練れよ。わたしもタイマンはったら負けちゃいそう」




神亀の総長にそこまで言わせるなんて。


赤羽くんは一体どんな戦い方をしたんだ……。

ここに来たときも傷ひとつなかったし。


彼ほどの逸材を、白鳥家はどこで見つけてきたのやら。


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