死んでもあなたに愛されたい
「ひとみ。腕、見せてみろ」
はい! どうぞ!
好きなだけ見て! 触って!
魁運はおそるおそるといった様子で、あたしの手首に触れた。
さりげなく脈拍を測られてたらどうしよう!
こんなときもドキドキしてるって気づかれちゃう!
気づかれたら、せいいっぱいかわい子ぶろう~っと。げへへ。
「……痛くねぇか?」
「まっっったく!」
「うそ……じゃねぇな」
見た目はひどいよね。
腕まくりしたところを見事に集中砲火されちゃって。
ところどころ赤く腫れ、青く変色している。
だけど、見た目ほど痛くないよ。本当だよ。
今、魁運の指が触れてる部分のほうが、ずっと感覚を狂わせてる。
「こっちにすぐ来りゃよかったな」
「魁運たちが足止めしてくれたから、被害が少なくて済んだんだよ」
この傷の責任を、魁運が感じなくていいんだよ。
戦闘に傷はつき物でしょ?
あたしが敵を傷つけた。
たとえ理不尽でも、あたしも傷つけられた。
そうやってケンカをして、守ろうとしただけなの。
あ、魁運のほっぺに、すり傷がある。
魁運も守ろうとしてくれたんだよね。
あたしの傷と、一緒だ。
「痕、残っちまうかもしれねぇんだぞ」
「残っちゃうかな……?」
「……なんか、や、だな」
うん、あたしもやだ、かも。
かも、ていうか、ぜったいやだ!
あのクソ雑魚ヤローどものつけたの、ってのがキモくない!?