死んでもあなたに愛されたい
はい、たった今、脳内で、忌み嫌ったヤツをボッコボコにぶん殴りました。
いい子オブいい子を傷つけんじゃねぇ、悪ガキども。
「すっごく似合ってるのにね。金髪も、地毛の色も」
金色は、チャラさがプラス。
いじわるなお兄さんぽくなって。
白色は、儚さがプラス。
きれいめクールガイになる。
どっちもイイ! 選べない!
「……ん、俺も今は気に入ってる。昔は今にも死んじまいそうな、この色がいやで、金に染めたけど……ひとみと出会って変わった」
「え? あたし?」
「ひとみの目が、きれいだって思った。なんの色にでもなれることを、教えてくれたんだ」
あのとき、あたしが救われたように。
魁運の心も、たしかに、救われていた。
ふつうじゃなくても、きれいじゃなくても。
誰かにとっての「ふつう」で「きれい」になれたなら。
それだけで運命は簡単に変わる。
唯一無二の神様は、あたしのそばで、笑ってる。
「今度は、染めるの?」
「染めない。……って言いてぇとこだが、今日だけ黒染めしねぇと」
「黒!? なぜ!?」
「秋祭りがあんだろ? 俺がこのまんま手伝ったら、客が来なくなっちまうからな。毎年、黒髪にメガネして変装してんだよ」
「メガネまで!? 魁運っていつもコンタクトしてたっけ!?」
「いや、ダテだよ。ダテメガネ」