死んでもあなたに愛されたい
黒髪とダテメガネ!?
メガネはメガネでも、ガチもんとダテではキュンの意味合いが変わってくる。
ダテメガネかぁ……。
ひかえめに言って最高。
しかも黒髪!
図書館が似合う、大人っぽい好青年の完成だ!!
ギャップの境地をはるかに越えてるよ……!
魁運とは知らずに、お客さんがガチ恋しちゃったらどうすんの!
まず1人は確定してるよ! 誰だって? バカ、あたしだよ!!
「なんで頭抱えてんだ?」
「魁運のかっこよさに打ち震えてる……!」
「ははっ、んだよそれ」
笑いごとじゃないよ!
国際問題に発展しかねない議題だよ!?
魁運のかっこよさの幅が広すぎる問題!
解決できないと、あたしの心臓が正常に戻りません!
「ひとみは染めねぇのか?」
「あたし? あたしは……」
「ひとみも金髪似合いそうだけど、やっぱこの色が一番いいよな」
魁運があたしを洗面台の前に立たせると、うしろから長い前髪を左右に分けた。
指先が毛先に、おでこに、まつ毛に、やさしく触れる。
ただでさえ心臓が忙しいのに、これ以上の負荷は禁物だって……!
「今日だけ俺もグレーにしよっかな」
つむじあたりにあごが置かれ、心臓が止まりかけた。