死んでもあなたに愛されたい
黒くぼやけた、あたしの世界。
でも。
あぁ、きれいだ。
彼女の世界は、とても、輝いている。
ずっとそうだった。
ほの暗い影がつきまとうこの世界で、彼女だけは、いつも美しかった。
まばゆいまでの純潔さに、あたしがどれだけ安らいでいたか。
うらやむことすらおこがましい。
その凛とした白さが、どうか、きれいなまま――……
「ひとみ!」
突然、魁運に肩を引き寄せられた。
えっ、なに――ズン!!と、足元にいやな衝撃が。
あたしの右足から、わずか数ミリ離れた距離。
地面に深く埋まっているものに、目を疑った。
銃弾……?
なんで、今。
このタイミングで、ソレが……。
脳裏には、白雪組しか浮かんでこなかった。
「ひとみ、大丈夫か?」
「え、う、うん。魁運が助けてくれたおかげで」
「ひとみんに何かあったの?」
「ああ、あ……った、気がしたんだけど、」
なぜか考えこんでしまう魁運に、マユちゃん先輩はいぶかしげに聞き直す。
魁運、銃弾には気づいてないのかな?
気配だけ察知したのか!
だったらわざわざ教える必要はないね。大ごとにしたくない。
あたしがこの場を離れれば済む話だし。