死んでもあなたに愛されたい
あたしがヤクザの娘であること。
チャンス到来のきっかけが厨二病であったこと。
エトセトラ。
今、明かせないことばかりだ。
もしかしたら、あたしに秘密があることに勘づいているかもしれない。
あたしはふつうじゃないし、不可抗力にも秘密主義だし。
事情はどうあれ、家出してきた謎の少女であることに変わりはないけど。
この反抗期に満足いくまでの、期間限定の自由を、思う存分あなたに尽くしたい。
あなたのそばで、ドキドキしたい。
そう思っちゃったの。
「お願いします!」
「いいぞ」
「!! ほ、本当で……す、か……」
「ああ、本当だ」
返事をしたのは、金髪少年じゃない。
ふすまが開けられ、堂々と現れた見知らぬ男性が、うんうんとうなずいている。
誰だ、この人……。
和装……というか、神職の方が着ているような服装をしている。狩衣、って言うんだったっけ。
裏にあった神社の人、だろうか……?
「親父! いつからそこに……」
「おやじ? ……お、お父様!?」
「はは、どうも。父です。話は聞かせてもらったよ」
まさかのお父様、登場!
無意識に背筋がしゃんとする。
恋人の家族に結婚のごあいさつに来ているような気分。経験したことないけど。