死んでもあなたに愛されたい



あたしがヤクザの娘であること。

チャンス到来のきっかけが厨二病であったこと。


エトセトラ。



今、明かせないことばかりだ。


もしかしたら、あたしに秘密があることに勘づいているかもしれない。



あたしはふつうじゃないし、不可抗力にも秘密主義だし。

事情はどうあれ、家出してきた謎の少女であることに変わりはないけど。


この反抗期に満足いくまでの、期間限定の自由を、思う存分あなたに尽くしたい。



あなたのそばで、ドキドキしたい。

そう思っちゃったの。




「お願いします!」


「いいぞ」


「!! ほ、本当で……す、か……」


「ああ、本当だ」




返事をしたのは、金髪少年じゃない。

ふすまが開けられ、堂々と現れた見知らぬ男性が、うんうんとうなずいている。


誰だ、この人……。



和装……というか、神職の方が着ているような服装をしている。狩衣(カリギヌ)、って言うんだったっけ。


裏にあった神社の人、だろうか……?




「親父! いつからそこに……」


「おやじ? ……お、お父様!?」


「はは、どうも。父です。話は聞かせてもらったよ」




まさかのお父様、登場!


無意識に背筋がしゃんとする。

恋人の家族に結婚のごあいさつに来ているような気分。経験したことないけど。


< 14 / 329 >

この作品をシェア

pagetop