死んでもあなたに愛されたい
「おい! 神亀の総長さんよ!」
「どっかで見てんだろ!?」
「隠れてねぇで、出て来いよ!」
マユちゃん先輩のこと……?
神亀を逆恨みしてるヤツらか?
「ご指名ありがとうございまーす」
上の階から、おちょくった声がこだました。
マユちゃん先輩だ。さすが。
見なくてもわかる。ぜったいニヨニヨしてる。
「やっと顔出しやがったな」
「こっちからわざわざケンカ売りに来てやったんだ。顔貸せよ」
「あら、告白かしら? でもブスはお断りなのよね~」
「はあ!? きめぇこと言ってんじゃねぇぞ!」
「俺らのシマを荒らしておいて……!」
「さっさと降りてきやがれ!」
ガラッ!と窓が開いた音がした。
悲鳴じみたどよめきが起こる。
どちらも真上からだ。
え……ま、まさか……。
――フッ、と、1の4の窓を人影がとおり過ぎた。
幽霊?
いいや、ちがう。
あのピンクみがかったハイトーンの長い髪は、ひとりしかいない。
校舎前の大木が、大きく揺れ動いた。
「はい、降りてきてあげたわよ」
さっきまで上からした声音が、今は真下から聞こえる。
バイク集団の正面には、マユちゃん先輩が仁王立ちしていた。
マユちゃん先輩、やっる~!
校舎から木へ飛び移ったところ、最高にイカしてた!
前世はサル説を推す!