死んでもあなたに愛されたい
くるりとマユちゃん先輩が振り向くと。
ガッシャン!!
勢いよく校門を閉めた。
すぐにバイクは急ブレーキをかける。
そこに追い打ちをかけるように、マユちゃん先輩は手に持っていたペンでタイヤをぶっ刺した。
「ふふ。捕まえられるかしら」
「て、てんめぇ~~!!!」
マユちゃん先輩のほうが一枚上手だったね。
あの調子じゃうまく逃げられるかも。
でも……マユちゃん先輩は、仮にも神亀の総長。
いわば王将だ。
そんな一番上の立場の人が、そっせんして狙われ役を買って出ちゃってよかったの?
神亀では上も下も関係ないのかな。
それともすでに下っ端が動き出してるとか。
魁運はどう思って……
…………あれ?
「か、魁運が、いない……!?」
右角の席が、空っぽだ。
いついなくなった!?
どこに行ったの!?
もしかしてマユちゃん先輩を助けに?
頭が動くなら、足も、みたいな?
……大いにあり得る。
現に、今、校舎からぞろぞろと学ランが飛び出してるし。
「き、気を取り直して! 種目決めを再開します!」
「い、いぇーい!!」
「みんなで優勝とろ!」
「俺、騎馬戦出たい!」
「わたし、借り物競争!」
一気に教室が騒がしくなった。
ときおりあたしに視線がくるが、テンションは上昇していく一方。
うぅ……。あたしの気分は急下降だよ!
魁運と一緒にどの種目に出るか決めたかったのにぃ……。
5分だけでいいから、魁運、戻ってきてーー!!