死んでもあなたに愛されたい



重たそうにされてもどかないよ。

このときを待ち焦がれていたんだもん。


この分厚い胸板に、ほっぺすりすりさせてもいいよね? てか、します。



ドキ、ドキ、と魁運の胸が一定のリズムで跳ねてる。

この心音をずっと聞いていたい。




「よかったぁぁ……。もう起きなかったらどうしようって、思って……っ」


「……泣いてんのか?」


「……っ」


「顔、見せて」




魁運はゆっくり上半身を起こし、あたしの耳たぶを撫でた。


鼻をすすりながら顔を上げると、耳たぶにあった魁運の手が目元へ移る。

大粒の雫をやさしく拭ってくれた。




「クマできてる。ちゃんと寝てなかったのか?」


「あんまり……。魁運、3日も眠り続けてたから。ちょっと、怖かった」


「3日も?」




魁運がおどろいたのは一瞬だけ。

すぐにすべてを悟った。




「ああ、俺……また、呪いに……」





泣きそうだ。

あたしじゃなく、魁運が。


そんなつらそうな顔をしないで。



“呪い”なんてあいまいなものじゃない。

ソレが何かわかったら、怖くなくなる?


ちょっとは肩の荷を軽くできるかな?




「あ、あのさ、魁運」




目覚めたばかりの今、伝えるべきことじゃないのかもしれない。


だけど。


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