死んでもあなたに愛されたい
これは、賭けだ。
「魁運に憑りついてる幽霊って、もしかして――魁運のお母さん、かも」
「……え?」
「その……お、お母さん、みたいな女性が、魁運の首を、こう……絞め」
「なに言ってんだよ」
一刀両断された。
わざとだ。
いつになく冷たい声色。
あたしと、目が合わない。
「んなわけねぇだろ……。わかったようなこと言うな」
「でも! あたし!」
「……触んな!」
伸ばした手を、パシンッ!と払われた。
手の内側がやけに痛む。
魁運は苦しそうにしながらも、かたくなにあたしのほうを見ない。
拒絶された。
今、あなたを苦しくさせてるのは、あたし。
「…………ご、ごめんね」
何に謝ってるんだろう。
自分でもわからなくなる。
ただ、その4文字しか出てこなかった。
いたたまれなくなって部屋を飛び出した。
同じ4文字なら、せめて「おはよう」って言ってあげたかった。
もう、遅いね。