死んでもあなたに愛されたい
生と死の境目は、ひどく冷えこむけれど。
独りじゃない。
あったかいとすら思えてくるほどに。
気づくきっかけをくれたのは、やっぱり、魁運なんだね。
そんなあなたを、救いたい、だなんて。
心底どうでもよかったね。
手のひらに咲くスイレンを、もう片方の手で包みこんだ。
ガクに触れる花弁ほど、うっすら紅に染まっている。
その花が開くころ、魁運にぜんぶ言うんだ。
やわらかな香りに酔いしれながら、白んだ花弁の先に口づけた。
いいよ。
救えなくても。
どんなあなたでも。
死んでもあなたを愛すよ。
――カクン、と腕がすべり落ちた。
青ざめた肌に、熱が浮く。
透明な眼はまぶたにふさがれた。
充電の切れた携帯。
雨に叩かれた静寂。
「――見つけた」
生々しい息づかいが、あたしに触れた気がした。