死んでもあなたに愛されたい
うんともすんとも言わない俺に、彼女はぷくりと頬をふくらませる。
ひとみとそっくりな女。
そのちょっとした言い方、仕草も重なる。
……のに、なんで、ちがって見えるんだろう。
脳裏で、うれしそうに笑うひとみにばかり、意識が囚われる。
どうしようもなく。
「それでは、つむぎ様。わたくしは神主の方を呼んでまいります」
「はい、お願いします」
「また親父に用か」
「先日の秋祭りのお礼です」
スキンヘッドの男が本殿へ向かうのを横目に、白鳥つむぎは持っていた手土産を見せた。
老舗の包みだ。
高級和菓子で有名な。
今度みんなで食べ……
「これ、あとでおふたりで食べてくださいね」
ふたり。
彼女はそう言い切った。
「……ふたり、ね」
「はい。ご家族で分け合ってください」
「……ここにひとみがいねぇこと、知ってんだ?」
「別居はしていますが、ひぃちゃんは家族ですから」
マウントとられた。
こいつケンカ売ってんのか?
愛嬌のある笑顔をしてるくせしてやりおる。
「どこにいるかも知ってんのか」
「もちろんです」
「ちゃんと、いるんだな……?」
「……なにか誤解されているようですね。わるい想像はすべて取っ払ったほうがよいかと」