死んでもあなたに愛されたい
誤解? わるい想像?
どれのこと言ってんだ?
白雪組のことか、もしくは、ひとみに迫る危険か……。
いいや、どれも俺が目の当たりしたことだ。
誤解もクソもあるか。
まあ、いい。
ひとみが無事なことがわかったんだ。ひと安心だ。
よかった。明日、また会える。
「カイウンさん、まさか……ひぃちゃんに会いに行ったりしませんよね?」
「そのまさかだ」
「白雪組のおそろしさ、知ってますよね?」
「だから?」
ひとみが白雪組の娘であること。
その秘密を把握していると暗に告げても、白鳥つむぎは微動だにしない。
こっちのことは筒抜けってわけだ。
明日会いに行く計画は、漏洩しないよう釘を刺しておこう。
「……わたしじゃ、だめですか?」
「は?」
いきなりどうした。
「ひぃちゃんじゃなくても……わたしだって、カイウンさんのことわかってあげられますし、家柄的にも支え合っていけると思います」
彼女の腕が、ゆるやかに俺に絡まっていく。
太いまつ毛が上を向き、ヘーゼルの瞳をまたたかせる。
そうだな。
妹のほうも、呪いを怖がらなかった。
あまつさえ、それが日常だと。
“ふつうじゃない”枠組みの中でも似通った部分が大きいし、なんとなくいい子だってことは伝わってくる。
ひとみじゃなきゃいけないワケは、ない。