死んでもあなたに愛されたい
話
暑い。
体が、熱い。
重たい。苦しい。
「……~~っ、あっつい!!」
勢いよく飛び起きれば、厚手の羽毛布団が5枚、はるかかなたへ吹っ飛んでいった。
誰だ、布団をあんなにかぶせたのは!
まだ秋だよ? 真冬じゃないんだよ!?
真冬だとしても暑いわ!
「はああ~~……寝心地最悪……」
寝た気がしない。だっるい。
暑くてイカれ狂うかと思った。
寝てるとき、そんなに寒そうにしてた?
おじ様が気を遣ってくれたのかな。だとしたら布団を蹴飛ばしちゃってごめんなさい。
……というか、あたし、いつの間に永鳥家に帰ってきてたの?
えっ、記憶も飛んだ? 今までの夢? え? 何?
「な……何!?」
ずいぶんと広々とした和室。
戸の奥に、立派な庭。
質の高い生地で作られた和服。
畳のにおい以外、どれも、遠かりし。
「ウチやん!!!」
永鳥家じゃない!
白雪組のほう! 実家! ウチ!
軟禁されてた、あたしの部屋だ!!
え!? なんで!?
いつ連れ戻された!? それこそ記憶ないんだけど!
あたし、山で事故った? 記憶喪失?
池から上がってから何をどうしてこうなった!?