死んでもあなたに愛されたい
あたしには、双子の妹がいる。
容姿はそっくりだけど、何もかもちがう。
住む家も、苗字も。
何もかも。
似て非なる、相違。
ふつうじゃない双子の、優れた妹と、劣った姉。
誰だって、良いほうを欲しがる。
父さんだってそう。
今回、わざわざあたしを書斎に呼び出したのも、妹がこっち側につくようにあたしから言い聞かせるよう頼もうとしたから。
ふだんはめったに顔を合わせないくせに。
ばーか、ばーか。
厨二病だかなんだか知らないけど、あたしたちのことも考えろよ。曲がりなりにも父親でしょ。バカ父。
「ほんと、バカ」
「な! 親に向かって何を!」
「あ」
また口が勝手に。
今日のお口はゆるゆるみたいですね。
たまりにたまった愚痴が、するする出てくるから困ったもんだ。アハハ。
笑ってごまかそうとしたら、あたしの自室へ連行され、
「1週間、ここで反省していろ」
――バタン、と閉じこめられた。
ひでえ親だ。
「……1週間て。いつものことじゃん」
ちょっとした出来事があって以来、この軟禁生活を送っている。
せっかく今年高校生になったのに一度も登校できていない。入学式すら欠席だった。
お目付け役と勉強はしているが、高校で学ぶのとそれはちがう。
全っ然ちがうのに!
しかも、だ。
その貴重な1週間で、あたしにとっては名ばかりの夏休みが終わってしまう。
ふざけんな、あのヤロー。