死んでもあなたに愛されたい
はああ~~! 楽しみ~~!
元気もりもりになって、肌はぴちぴちのぷるぷる。
ヘアメイクもばっちり! カンペキ!
ひさしぶりの制服姿もプラスして、クラッときちゃうんじゃない!?
朝イチから「かわいい」ってほめられて、ラブラブ登校デートかましちゃうんじゃなあい!?
非リアな皆様、ごめんあそばせ。
朝から胃もたれ、胸焼け、ご注意を。
なんちって。
「ふふ、ふふふ……」
「お嬢いきなり笑いだしてキモいですよ」
「あ? なんだって?」
「ナンデモナイデス」
ばっちり聞こえちゃったけど、聞こえなかったフリをしてあげる。
今日のひとみちゃんはとってもやさしいの。
玄関に向かう足も、勝手にスキップを踏んじゃう。
「お嬢……本当に、元気になりましたね」
「兵吾郎が看病してくれたおかげだね。ありがと」
「いえ……」
なぜか浮かない顔の兵吾郎。
うつむいた、その目は、心なしか赤い。
「……ほんとに、行っちゃうんですか」
「え?」
「学校ならここから通えばいいじゃないですか。別に、永鳥家にお世話にならなくても……っ」
「――今さらグダグダ言ってるんじゃない、兵吾郎」
ぎゃっ! 出た!!
父さんが背後からにゅっと出現し、兵吾郎の頭蓋骨をわしづかみにした。
びっっくりした……!
わざと気配消して来ないでよ!
兵吾郎なんか、おどろきすぎて硬直してる。