死んでもあなたに愛されたい



一応、携帯の中身を確認してみれば。

連絡先の欄に、なんと、「永鳥魁運」の文字。



どこまで情報がつつ抜けなんだか……。


待てよ、待てよ?
裏を返せば、これって、父親公認ってことでいいんだよね?




「何かあればいつでも連絡しろ」


「そ、そうですよお嬢! 組員全員の連絡先、追加しときましたんで!」


「それは多すぎ」




魁運の名前に注目しすぎて気づかなかったけど……うわ、ほんとだ。

本当に全員分、入ってる。


兵吾郎と赤羽くん以外、名前見ても誰かわかんないよ。顔を見てもわかんないだろうけど。




「そういえば、赤羽くんは?」


「純也なら、少し前に行きましたよ」


「あ、そっか。赤羽くんも学校あるもんね」


「純也に何か用でしたか?」


「ううん。ただ……」




ただ、監視役は降りろって言っときたかっただけ。


これから言うべきことがあれば、自分で父さんに言う。

赤羽くんの出る幕はもうないよ。



それだけ伝えて、監視されるダルさから解放されたかったんだけど、いないならしかたない。


また今度にしよっと。




――ピンポーン。



「あ、えっと……こほんっ。お、おはようございやす! 永鳥魁運、です。ひとみ、さん、を迎えに来ました」




あっ! 魁運だ!!



声が緊張してる。

ひとみさん、だって。かわいい!


扉越しに見えるシルエットにさえ、ときめいちゃうよ! どうしよう!


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