死んでもあなたに愛されたい
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「っぷはぁぁ、びびったぁぁ……」
白雪家が見えなくなると、魁運はためこんでいた二酸化炭素や、あれやこれやを一気に吐き出した。
カチコチに固まっていた体から、どんどん力が抜けていく。
「ふふふ。魁運、緊張してたもんね」
「するだろそりゃ。カノジョの親に会うんだから」
「ッ!!!」
いま……い、今! カノジョと!?
言ったよね!? 今、さらっと!
あたし、聞いたよ! この耳が聞き逃さなかった!
カノジョ……魁運の、カノジョ……。
へへへへ。
そっか。あたし、カノジョになったんだよね。
魁運も、あたしのカレシに……。
ぐへへへぇ。
カレシとカノジョって、なんか……なんか、いいね。いっぱい言っていこう!
「お、俺、変じゃなかったか?」
「全っ然! かっこよかったし、かわいかった!」
「か、かわ……?」
「うん! あたしのか、かれ……カレシ、はいつだってかっこいいし、かわいいの!」
「かわいいのは、俺じゃなくて……」
ん? どうしたの?
なにか言いかけた魁運に、耳を寄せてみる。
色素のうすい茶色い瞳が甘くとろけていく。
「かわいいよ」
左胸にミドルシューーーート!!!
きまったああーー!
優勝! あなたが優勝です!!
トロフィー持ってけドロボー!
そのきれいな唇に、眼差しに、真っ向から口説かれたら勝ち目なんてないよ。