死んでもあなたに愛されたい



魁運はシャツの中からチェーンをたぐりよせ、同じ小瓶の飾りを見せてくれた。




「俺のは、ひとみが贈ってくれたドライフラワーを入れてる。ふたつを並べると、花が浮かんでるように見えないか?」


「本当だ……! すごい、きれい……」


「よかった……。がんばって作ったかいがあった」


「ありがとう、魁運。大事にするね!」




今日は、なんていう記念日?


会えただけでもうれしかったのに、こんなサプライズを用意してくれてたなんて。



またひとつ、宝物が増えた。

大事にしたいものができた。


この宝物に、ずっと、つり合う人間で在りたい。




「えへ、えへへへ~」


「ニヤニヤしすぎ」


「えへへ! ネックレス見たら顔が勝手に」




――チュッ。




「勝手に?」


「か、かか、勝手に……き、キス……っ」


「ん? もっかい?」


「ちが……! い、いや、ちがくないけど! けど、だから、あああの!?」




キスかと思ったら、キスじゃなくて。

キスのときじゃないはずなのに、キスされて。


キスが、キスで、キスに、キスを……!?!?




「こ、混乱しそう……!」


「しそう、じゃなくて、してるんだろ」




だ、誰のせいだと……!

確信犯め! 好き! まんまと罠にかかります!


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