死んでもあなたに愛されたい
「何はともあれ、おかえりなさい、ひとみん。よかったわね」
「ありがとうマユちゃん先輩! 神亀も手伝ってくれたんですよね?」
「カイからのはじめてのお願いだもの。張り切っちゃったわ」
「繭たちのおかげだ」
「最初はどうなることかと思ったけれど、丸くおさまったようで何よりよ。ただ、白雪組を挑発するような自殺行為は、もう二度とごめんだわ」
やれやれと肩をすくめながらも、マユちゃん先輩は楽しげに笑っていた。
たぶん、また同じようなことがあっても、神亀は手を差し伸べるんだろうな。
仲間にはとっても甘いから。
そんなチームの総長なら、なおさら。
「次のお願いはもう少しやさしめのでよろしくね」
「やさしめってどんなですか?」
「うーん、そうねぇ……体育祭で優勝させてくれ、とか?」
「それがやさしめなんですか!?」
お願いすれば優勝確定!? できるのそんなこと!?
……って、そっか。今週末は体育祭か!
欠席しすぎて、日にちの感覚がなくなりかけてた。
「冗談よ。わたしたち、同じ赤軍だから、がんばりましょうね。カイはサボっちゃだめよ?」
「えっ。魁運、参加しないの……?」
「……サボんねぇよ」
「ひとみんナイス上目遣い!」
わーい! わーい!
言質いただきました!
これで魁運と二人三脚できる!
ふふん。ほかのペアなんか目じゃない。
あたしたちが最強! トップはいただいたぜ!
「カイ、男に二言はないわよね? 体育祭もだけど、授業もちゃんと真面目に受けるのよ」
「はいはい」
マユちゃん先輩はほくそ笑み、また昼休みにね、と3年の教室へ行ってしまった。