死んでもあなたに愛されたい



不意に、影が差した。




「…………」


「魁運……?」




かばうようにあたしの前に立つ魁運。

大きな背中によって視界がさえぎられる。



ウチで血を吐いたときのことを心配してくれてるのかな。


魁運も変わらないね。

ううん、もっとやさしくなった。




「魁運、いいんだよ」


「……本当か?」


「あたし、こんなことじゃびくともしないよ。今までもそうだったでしょ?」




教室は朝なのにほの暗くなって。

クラスメイトからの毒素が、あっちにもこっちにも蔓延(マンエン)してる。


居心地は、そりゃもちろん、最っ悪。



でも、あたしだけじゃない。


敵意はあたしだけに向けられてはいないし、あたしも独りじゃない。



魁運だってつらいだろうに、あたしばっかり守らなくていいんだよ。



一緒にいようよ。

うしろじゃ、顔が見れないからいやだよ。


あなたの隣に並ばせてほしいの。




「……ひとみは強ぇな」


「か弱い子のほうが好きだった?」


「いや。ひとみがいい」


「ぎゃふんっ!!」




TPOを蹴散らす、魁運のデレ期こそ強すぎる!


言葉たくみにあたしをたぶらかしてくる!

これ以上惚れさせて、あたしはどうすればいいの!? 全財産差し上げればいい!? へい、よころんで!


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