死んでもあなたに愛されたい




「……ごめん、ひぃちゃん」




暗くうつむくつぅちゃんに、あたしはキョトンとする。




「どうしてつぅちゃんが謝るの?」


「だって、わたしが」


「監視してたのは赤羽くんなのに」


「え?」


「え??」




つぅちゃんと赤羽くんは顔を見合わせる。


何この空気。

ふたりまでキョトンとしてる……?


数拍置いて、ふっ、とふたりそろって噴き出した。


なぜだ。




「ひとみ様、ちがいます」


「誤解だよ」


「何が?」




どこがどうちがうの?


首をかしげるばかりのあたしの手を、つぅちゃんはやさしく引き寄せた。

観念したように力なくほころんでいる。




「ちゃんと教えてあげる。ぜんぶ、話すよ」


「つぅ、ちゃん……?」


「ひぃちゃんのお部屋、行こ。こっちだよ」




やさしかった引き寄せ方が、いきなりグイグイッと強引になる。


この家、つぅちゃんの家じゃないよね!? 部屋の間取り、いつの間に記憶したの!?

お姉ちゃん、ちょっと怖い……。




「お、おい、なに勝手に……!」


「はいはい。ぼくたちは一緒に夕ご飯作りでもしましょうね」


「おまえも仕切ってんじゃねぇよ! ここは俺ん家だって言っただろうが!」


「はいはい、そうですねー。今日はカレーがいいですよねー」


「んなことひとことも言ってねぇ!!」




……あっちはあっちで大変そうだ。



< 232 / 329 >

この作品をシェア

pagetop