死んでもあなたに愛されたい
赤羽くんに背中を押され、否応なしに台所へ行かされる魁運を横目に、あたしもつぅちゃんに連れて行かれるがまま2週間ぶりの自室へ。
実家のよりやわらかい畳のにおい。
置いてきぼりにしてた荷物。
何も変わらずにそのままにしてある。
きれいに掃除までされてる。
少し目頭が熱くなった。
「…………ひぃちゃん。ごめんね」
パタン。
静かに閉鎖された音。
熱が、冷める。
「つぅちゃん……なにを、謝って」
「わたしなの」
「……なに、が」
「監視役は、わたしなんだよ」
密閉されたせいだろうか。
とたんに、ぴりっと、皮膚がしびれていく。
やけに心臓がざわついた。
「監視役に自ら志願したの」
言葉は通じてる。話は入ってきてる。つじつまも合う。
でも。
だけど。
頭が、理解しようとしない。
「あ、赤羽くん、は……?」
「彼は、ただの、わたしの護衛役だよ」
「ぜ、前任の人がいたじゃん」
「純也のほうが行動しやすかったの。学校も一緒だし、ひぃちゃんの次期お目付け役だし。監視役のいい補助になるかなって、お父様に頼んだんだ」
監視役は、赤羽くんじゃない。
本物は……双子の、妹、だった?