死んでもあなたに愛されたい
……あ、ああ、そっか。わかった。
これドッキリだ。赤羽くんとグルになって、どこかでモニタリングしてるんでしょ。
きっとそうだ。そうにちがいない。
そうじゃなきゃ、どうして。
「突然こんなこと言われても混乱しちゃうよね」
「……、」
「でも、思い出してみて? 偶然ひぃちゃんのいるこの神社に来て、偶然再会して、偶然ここで巫女神楽をすることになるなんて……そんな偶然、起こり得ると思う?」
そうだよ。ぜんぶ、偶然だった。
ばったり遭遇して、奇遇だね、なんて。
そういうていだった。
最初から仕組まれていた。
知らぬ間に、あたしは、妹の手のひらで踊らされていた。
「……ど、どうして、監視役なんか」
「わたしが言ったこと、憶えてる?」
「え……?」
「家出なら応援するけど、カケオチならおすすめしない、って」
パーマがかった髪のかかった、あたしと瓜ふたつの顔は、いやに陰っていてさみしそう。
カケオチの話をしたときとは正反対だね。
『いろんな人に迷惑かけるし、警察沙汰になったりもするし。なにより、責任や宿命から逃げ出した不届き者だって、双方ともに烙印押されるはめになるんだよ。
そしてカケオチしたふたりは、たいてい幸せにはなれないの』
お祈りで釘を刺すよりだいぶ先に、つぅちゃんはひそかに釘を刺していたのに。
あたしはのんきに、めくるめくラブロマンスか、波乱万丈サスペンスか、妄想を楽しんでいたっけ。