死んでもあなたに愛されたい



……あ、ああ、そっか。わかった。

これドッキリだ。赤羽くんとグルになって、どこかでモニタリングしてるんでしょ。


きっとそうだ。そうにちがいない。


そうじゃなきゃ、どうして。




「突然こんなこと言われても混乱しちゃうよね」


「……、」


「でも、思い出してみて? 偶然ひぃちゃんのいるこの神社に来て、偶然再会して、偶然ここで巫女神楽をすることになるなんて……そんな偶然、起こり得ると思う?」




そうだよ。ぜんぶ、偶然だった。


ばったり遭遇して、奇遇だね、なんて。

そういうていだった。


最初から仕組まれていた。



知らぬ間に、あたしは、妹の手のひらで踊らされていた。




「……ど、どうして、監視役なんか」


「わたしが言ったこと、憶えてる?」


「え……?」


「家出なら応援するけど、カケオチならおすすめしない、って」




パーマがかった髪のかかった、あたしと瓜ふたつの顔は、いやに陰っていてさみしそう。


カケオチの話をしたときとは正反対だね。



『いろんな人に迷惑かけるし、警察沙汰になったりもするし。なにより、責任や宿命から逃げ出した不届き者だって、双方ともに烙印押されるはめになるんだよ。

そしてカケオチしたふたりは、たいてい幸せにはなれないの』



お祈りで釘を刺すよりだいぶ先に、つぅちゃんはひそかに釘を刺していたのに。


あたしはのんきに、めくるめくラブロマンスか、波乱万丈サスペンスか、妄想を楽しんでいたっけ。


< 234 / 329 >

この作品をシェア

pagetop