死んでもあなたに愛されたい
「カイウンさんのほうから離れてもらおうとも企んだけど……あの人、ちっとも引っかかってくれないんだもん。やんなっちゃう」
「妹よ、魁運に何かした?」
「ひぃちゃんが苦しい思いをする前に先手を打とうと思って」
「苦しい思いをする前提!?」
父さんとバッチバチな親子ゲンカしてるときならともかく、今は最高にハッピーでラブアンドピースなイチャイチャ期だよ?
それも魁運のことで苦しい思いなんて想像できない。
好きすぎて苦しい、ならあるだろうけど。てか、今まさにそうですけど。
「魁運と一緒にいて、いやな思いはしないよ~」
「するよ、きっと」
ヘーゼルの双眼が、グサリ、あたしを突き刺す。
怖いくらいきれいなその目に、あたしの眼球は浸食される。
「明かすか、明かすまいか、ずっと悩んでた」
「つぅちゃん……」
「わたしはね、ひぃちゃんに傷ついてほしくない」
だから、と。
つぅちゃんの指が、あたしの手を握り締めた。
きつく、きつく、力を入れすぎて、お互いの爪先が白んでいく。
「教えてあげる。わたしがここまでするワケを」
「……うん、聞かせて?」
ジョークめいた軽い話じゃないんだね。
ひぃちゃんにそんな表情をさせている秘密を。
あたしのために、とすがりつくその理由を。
受け止めなくちゃいけない。
それがひぃちゃんのためにもなるなら。