死んでもあなたに愛されたい



つぅちゃんを狙ってるくせに、あたしの正体には気づきもしない。



……いや、逆か。



今までのヤツらは、どっちがどっちかわかってなさそうだった。

今回は、あたしとつぅちゃんの見分けがついている。


だから、あたしにとことん興味がないんだ。




今までと今回は、別件?


まさか!



標的をひとりにしぼった態度。

白雪組の愛用してる種類と同じ拳銃。

ド派手な演出と、大量の人質。



一目瞭然じゃないか。




この好機に、賭けているんでしょう?


ヤクザを追放された、ならず者たちさん。




「…………」


「怖ぇか? 怖ぇんだろ!? アハハ! もっと怖ぇこと教えてやろーか?」


「なに」


「俺が一人で来たと思うか? 思わねぇよな!?」




――バン! バン! バン!



雲を散らすように銃をうならせた。


それを皮切りに、銃やらナイフを持った人間が一人、二人と動き出す。



客席から甲高い悲鳴が上がった。




「おめぇら、来い! 全員でおっぱじめんぞ!」




腐っても白雪組だったヤカラだ。

殺ると言えば本当に殺ってしまうんだろう。




「…………」


「……お、おい……」


「……1、2、3……15ぽっち? こっちの人数、本当にわかってる?」


「ぜ、全員集まれ! 聞こえねぇのか!?」




悲鳴が、上がる。


今度は、野太い、男の声。




「……ふ、ふふっ、もうだめ」


「てめぇ……な、なに笑ってんだ!!」


「察しがわるいんだね」


「はあ!?」




こいつらは、腐っても元白雪組。


でも、もう、腐ってしまったなら。

殺っても殺られるだけ。



きれいに実った、毒林檎によって。



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