死んでもあなたに愛されたい
「どうなってんだ!! 少なくとも50人はいたはずが……」
「残念だけど、ウチはバカじゃないの」
「何を……っ」
「――ぐああああっ!!」
「――ギィヤアァァ!!」
一般人の密集から、またしても野太い悲鳴が響いた。
一斉に人がよけ、ぽっかりと空いた穴に、ぐったりと伸びた男5人。
そして、スーツ姿の赤羽くんと、私服姿の兵吾郎。
「あ、あいつら……」
「外でもいろいろとやってんじゃない?」
「なっ!?」
「いけしゃあしゃあと単独で乗りこんできたら、どこかに仲間が隠れているかもって疑うのは当然だよね?」
あたしが何も考えずにあんたと対話してるとでも思った?
なわけないじゃん。
だからバカなんだよ。
敵の意識を引きつけてたの。
特殊な目のおかげで、敵が一人ではないことは察していたし。
少しでも味方が動きやすくなったらいいな~と思って。
とりわけウチの幹部の、毒林檎の会のやつらは、組長お墨付きの実力。
ひとりで難なく何人も殺れる。
知らなかった?
毒のめぐりは早いんだよ。
「てんめぇ……!!」
策が崩れ、余裕をなくした男が、真っ直ぐピストルをかまえた。
あたしのほうめがけて発砲する寸前、やや下にずらされ。
バァン!!と弾丸が放たれる。
「ひとみ!!」
「っ!?」
刹那。
魁運に力強く体を押された。