死んでもあなたに愛されたい
銃が、刃が、針が、火薬が。
群衆を追い、恐怖心をあおり立て。
「あの巫女だけは殺すなよ! あのときみてぇにな! アハハッ!」
凍てついた風に、さらされる。
ヒュッ、と息を吞む音が、した。
「……今、なんつった?」
「魁運……?」
その予兆は、ずっと、あった。
「おぉら! ぶっ放……っうお!?」
「な、なな、何だ!?」
「じ、地面が……っ!?」
愚かな敵が暴走する直前、自然が牙をむいた。
突然のことだった。
地響きが鳴ったのは。
グラウンドが揺れ、中央に浅い亀裂が生じる。
おぼつかない足場に、攻撃するどころではなくなった敵を、さらに追い詰める、不自然な強風。
秋風にしてはあまりに冷たいその風は、あろうことか土砂をまとい、敵を閉じ込めるように吹きすさぶ。
「うわあああ!!」
「な、何だ、これ!?」
「どうなってんだ!?」
巨大な砂嵐を前に、彼は……
「……あぁ、そうか……生き残りでもいたのか。それとも、面白おかしく伝聞したのか」
魁運、は。
あたしの大切な人は。
「どっちでもいいか」
涙を浮かべず、泣いていた。
「呪い苦しめられるなら、それで」
「か、ぃ……っ、魁運!」
きっともう、あたしの声は届かない。