死んでもあなたに愛されたい
愛心
――位置について。
風が、凪ぐ。
踊り狂っていた土砂は、次第に地面に還っていく。人々に気持ちわるい感触を残して。
――よーい。
地響きはおさまった。
振動の名残にさいなまれ、誰一人として頭が働いていない。武器までもうつむいている。
混沌。
安堵。
当惑。
得も言われぬ閑静さで、ど忘れしてるのかもしれないけれど。
――ドン!
「戦いはすでに始まってるよ」
「え」
無精ひげの男は、目を瞠った。
ようやっと不吉な現象が落ち着き、立ち上がったばかりだ。
砂嵐でやられた目をこすり、おそるおそる開いたら。
すぐ目の前に、色のない三白眼。
「ッヒィィィィィ!?!?」
「おどろかせちゃった?」
急に目力ドアップは、さすがにインパクト強すぎ?
でも、まあ、いいよね別に。
油断してたあんたがわるい。
わるい子にはおしおきしないと!
「油断たいてーーーきっ!」
「アアアアア゛!!」
必殺、目つぶし!
かーらーのー、急所アタック!
ピストルも没収!
よい子は真似しちゃいけないぞ!
「ん? ん!?」
「い、今、何が起こった!?」
「一人やられてる!?」
「なっ、おまえ、よくも……!」
事態を把握し始めた敵たちが、一斉にあたしをにらんでくる。
あわてて銃をかまえた一人に、あたしも没収した銃をかまえ返した。
「!? や、や、殺り合う気かよ……」
「それもいいけど、あっちも気にしたら?」
「は?」