死んでもあなたに愛されたい
あたしが銃を向けてるのは、あたしに銃を向けてるバカヤローじゃなくて。
そのうしろ。
「あんたも油断してたら巻きこみ事故あうよ?」
「巻きこみ事故?」
「ビャヤァァアア!!!!」
「は……ギャアア!!?」
だから言ったのに。
うしろから吹っ飛んできた、白いTシャツの男。
運わるく衝突し、下敷きになったバカヤローに意識はない。
あんたのピストルも危ないから没収しておくね?
あたしってば、ほんっとやさしー!
「ひとみ、当たってないか?」
この事故を作り上げた男……いいや、超! 絶! イケメン!!
魁運がわざわざあたしの心配をしてくれて、キュゥンとかわいく胸が鳴る。
「ぜ~んぜん平気! あのバカヤ……て、敵の人が壁になってくれたから!」
「そうか。ケガしてねぇならよかった。気ぃつけろよ」
警報! ときめき注意報!
これにはさすがのあたしも油断しちゃってたよ!
魁運の前ではあたし、いつでもオトメになれちゃうのです。えへ。
「イテテテテ……。が、ガキが、調子こいてんじゃねぇよ……っ」
「まだ生きてたのか」
「人間クッションがあったからかな?」
「ひとみ、危ねぇから離れとけ」
「はーい!」
「な、なに余裕ぶってんだゴルァ!?」
あたしが対角側のほうへ離れると、がらりと魁運の雰囲気が一変する。
「余裕? 余裕なんかねぇよ」
「は、はは、なんだ、今のが全力だったのか! ハハハ!」
「仇を討つのに余裕なんかいらねぇだろ」
「ハハ……は……?」