死んでもあなたに愛されたい



耳ざわりな嘲笑が、途絶えた。



光のない目つき。

腹黒い笑顔。


また、高らかな嘲笑が、響く。


今度は、魁運の。




「か、仇って、なん」


――ザシュッッ!!


「の゛ぅぉ!?」




何も見えなかった。感じなかった。

ただ、気づいたら。


男の顔横、すれすれの位置を、ナイフが貫いていた。




「な、なな、ななな」


「おまえの頭も切り刻んでやろうか」


「なっ!!???」




おかしい。

これはおかしいのだ。



地面に刺さるナイフは、男が隠し持っていた最後の物で。


男の手には銃があったはずで。

魁運が優勢になってるのはあり得ない。



なのに。




「か、体、が……う、動か、な……っ」


「あぁ、」


「な、なぜだ……なぜ、なぜだなぜだなぜだ!!!」




いつの間にか()られていたナイフが、重々しく掘り起こされた。


刃の冷たさが頬を横切る。




「気づいてなかったのか」


「な、に?」


「さっき吹っ飛ばしたとき、いくつか関節はずしてやったろ」


「そ、んな、ばか、ぬぅぁぁあああ!!?!」




冷酷に見下しながら、魁運は再びナイフを振り下ろした。


ザンッ!!!と。

力強く刃先が地をえぐる。


そこに絡まる髪の毛数本と、白いTシャツのタグ。



目をかっ開いたまま失神した男に、もう嗤う価値すらない。




「そこで一生寝てろ」




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