死んでもあなたに愛されたい



発射するより早く、さっとしゃがんだの。

あんたに上目遣いするためじゃないよ。


こうするため。




「どりゃあっ!」


「ッイ!?」




下から上へ。

思いっきり利き足を振って、拳銃を蹴飛ばした。


空高く。




「こっからだよ」


「ゥガ!?」




男の頭をドシンと沈め、大きく振りかぶり。

さっき没収したピストルを1つ、ぶん投げた。


たちまち冷風が起こり、剛速球ほどのスピードに上がる。



偶然? 否。

知ってるでしょう?


この冷風は、あたし至上主義だって。




「みんな壊れちゃえ」




――ガンッ!

――ボォッ……ンン!!!



時速170キロで衝突した、銃と銃が、ひどくきれいに爆発した。



イチかバチかだったけど、思ったより燃えたな。

たまやー、って言いたくなるのあたしだけ?


カスの男も言いたくならない? ……と思ったら白目むいてやんの。ださ。




「……あれ?」




カランカランって音してる?

もしかして、弾や欠片が降ってる!?


あ、やば。客席のほうにひとつ弾が飛んで……!



「爆破!?」

「なに!? 怖い!」

「も、燃えてる……!」



「あれは花火の不良品よ。何の問題もないわ」




……飛んでいったけど、マユちゃん先輩がキャッチしてくれた。


しかも何ごともなかったみたいな、ごまかし方と営業スマイル!

カンペキですよマユちゃん先輩!




「え、あ、た、高橋せんぱ……」

「は、花火、か」

「今、なにか飛んできてなかった?」



「気のせいじゃないかしら? さ、野蛮人どもから逃げちゃいましょ」



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