死んでもあなたに愛されたい
「魁運、帰りは」
「言い忘れてたけど、これからは登下校はひとみ一人で行けよ?」
「え……」
「あと、学校ではぜってぇ俺に関わるな」
「え!?」
なんでなんで!? 急にどうして!?
登下校はともかく、関わるななんて。
あたしのこときらいになっちゃった?
魁運の袖を引っ張り、やだやだ、と言いたげに頭を振る。
困ったように目を細め、魁運はグレーの髪の表面を撫でた。
「ごめんな」
「どうして……」
「ひとみのためなんだ」
どうして。
兵吾郎みたいなことを言うの。
『お嬢のためなんです』
それは本当にあたしのため?
「学校行ったら、ひとみもわかるよ」
魁運がそんな表情をするようなワケを、わかりたくないよ。
だけど。
そんな表情されたら、どんなワケでも、突っぱねられないよ。
するりと袖から手を下ろせば、髪をとかしていた温もりも消えていく。
光の入りこめる隙間もない路地裏では、ふたつの影どころか、きれいな金髪も色あせてしまっていた。
このままうす暗いところにいたら。
そしたら。
ずっとそばにいてもいいだろうか。
……なんて、ね。