死んでもあなたに愛されたい



仲間の屍を越えて、ニューアイテムを手に入れた中年の男は、愉悦そうに引き笑いする。


魁運にでも殺られたのか右足を引きずりながら、元々所持していた銃と合わせて二刀流で応援席を見据えた。



だめ!

あっちには、生徒が……1の4のみんなが!



「は、早く、逃げ……!」

「走れ! 速く! 走れっ!」

「きゃあっ!!」

「委員長!?」



逃げ道がごった返す。

影野さんの転倒によって流れが滞る。



2丁のピストルが、生徒の足元を差した。




「ククッ、体育祭から引退させてやるよ」


「だめ……だめだめだめだめ!」




させない。

させてはいけない。


誰も傷つけさせない!



ひゅるり、冷たい風に、短くなった髪をもてあそばれた。




「……うん、そうだね、みんな(・・・)




透けた瞳にだけ映る、黒くぼやけた世界。



あたしは愛されているから。


ふつうならできないことも、できてしまうの。




「フハハハハ! いっけええぇぇ!!」


「伏せろ!!」

「ちが……足のほう来て……!?」

「に、げて……っ、逃げてーーーー!」




――ドドドドドドド!!!



ある分だけ飛び交う鉛の弾。

激しくとどろく爆音。

気の狂った雄叫び。



すべて、一瞬で、蹴散らしてあげる。


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