死んでもあなたに愛されたい
「ふっ、敵に背を向けるとは……」
「佐藤さんっ! 危ないよ!」
よいしょっと、影野さんを起こしてあげる。
そんなにあたふたしないで。
忠告してくれなくてもダイジョーブ。
「そうね、危ないね」
「そうだよ、だから……!」
「この毒で……ぅあ!? なんだ!?」
「敵が、ね?」
中年男の目元を、突如として赤いハチマキが覆い隠した。
「ひとみに近づくな」
颯爽と敵の背後を取り、締め上げたのは、あたしだけのヒーロー。
魁運が駆けつけてると察してたよ。
守ってくれるなら、何の問題もない。
だってね、魁運は、最凶で最強なダーリンだもの!
「ひとみにも、クラスメイトにも、指一本手出しさせねぇ」
「ガハッ……! う、ぐっ……ヤ、れ……殺れぇぇえ!!」
乱雑に針を飛ばされた。
さらに、つぅちゃんのほうに忍び寄っていた他の2人の敵も、同志の声につられてあたしたちのほうに方向を転換させた。
残りの敵はこいつらのみ。
つぅちゃんには赤羽くんが護衛に馳せ参じた。
これはこれで好都合なんじゃないか?
「影野さんたち、もう逃げなくていいよ」
「え?」
「すぐ終わるから」
最終局面、さくっと片付けてしまおうか。