死んでもあなたに愛されたい
「あはは! こんなとこでおともだちごっこかよ!」
距離を取った敵の男が、急に腹を抱えて笑い出す。
いや、たしかにへんてこな状況とは思ったけど、そっちの笑いじゃないって。つくづく失礼なヤツだな。笑えなくしてやろうか。
「あの巫女……オメーらのせいで、こんなに怖がってんだぜ? かっわいそーになぁ! 言ってやれよ。元凶がなに守ってやがるんだ、友だちヅラすんなってな!」
「うっわ、責任転嫁」
「白雪の人間が、ふつうなヤツらにまぎれられると思ってんのかよ。夢見すぎだっつの! こいつらにとっちゃ邪魔でしかねぇだろ! なあ? オメーだって心ん中ではきらってんだろ? あはは!」
「妄想乙」
この男はなにをわかった気になってるの?
自分も白雪組だったからって、そっちの経験を押しつけられてもなあ。
笑えない。共感性ゼロ。
「あたしがそう思ってないんだから、それがすべてでしょ」
敵ごときがあたしのこと語るなよ。
守るか守らないかは、あたしが決める。
「安心しなよ」
「は?」
「あんたは邪魔だし、きらいだし、来世でも友だちにはなってやんない。それに……守ることも、ぜったいにない」
今が笑いどきだよ。
腹の底から笑いな。
きっと楽しいよ。……これから行く地獄は。