死んでもあなたに愛されたい




「チッ、動かせねぇ……。オメー卑怯だ……グア!?」


「体育祭台なしにしといてよく言うよ」




トン、と背中を軽く押しただけで、男は崩れ落ちた。


そっと首を片手でわしづかみ、脈に指の腹を押し当てる。

脈拍はだいぶ速い。




「ヒッ! ……は、なせ……よ……」


「ん? なんて?」


「は……離せ……っ」


「え?」


「は、はな、離して……ください……」


「いいでしょう」




すんなり手を離せば、男はまた威勢よく吠える。

……だろうから、その前に。




「とぉーう!」


「カッハ……ッ!?」




首に手刀を入れて気絶させた。



一般人の前だから簡単に撃退してみた。

楽しい地獄だったでしょ? テーマは3分クッキング。


本格料理フルコースのような、本物の地獄はCMのあと。牢屋にぶちこまれたら、グロくて血生臭い時間を味わえるよ。それも愉しみだね。




「今は、すてきな悪夢を」




魁運のほうはどうだろうか。


おお、中年男とジャージの若造にはさまれてる。

中年男につけたハチマキは、取られていた。



加勢しに……行かなくてもいいね。


魁運だもん。

なんとかしてくれる。


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