死んでもあなたに愛されたい



だから、代わりに。




「魁運んんんん!! がんばれ~~!!」




せいいっぱい応援するね。

100メートル走のときよりもうんと気合い入れて。


声を出せないスイレンさんの分も。


あたしの声で、届けるよ。




「魁運ファイトーー!!」


「任せろ」




「ゥワアア!!」

「ゴホッ……!」



やったれ魁運! かっこよく決めちゃって!



針を持った中年男の手をおさえつけ。

ジャージ男の足を払い、よろけた上半身を踏んづける。



戦ってる姿、その一挙一動が、あんなに様になるなんて。

毎秒ごとにかっこよさが増してる。


銃もないのに胸を打たれちゃうよ! ずっきゅんばっきゅん、乱れ打ちだ!




「カイ、さっさとやっちゃいなさい!」

「し、死が……な、永鳥、くん! がんばって!」

「終わらせて、カイウンさん!」



「マユちゃん先輩……影野さん、ひぃちゃんも……」




彼らの胸も打たれたみたい。


届いてるかな。

すごく、あったかいよ。


あの白い輝きに、熱くならずにはいられないんだよ。



あたしも負けてられないな!


すぅ、と息を吸って。




「か……!」



「死神!!」

「負けんな! やっつけろ!」

「な、なが、永鳥さん……!」

「お願い!」

「がんばってください!!」



「……か、魁運……ねぇ……っ」




ねぇ。ねぇ。


やっぱり魁運はすごいね。



こんなことってあるんだね。

耳をふさいでも届きそうだ。



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