死んでもあなたに愛されたい
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中学3年。齢15。
ぎりぎり義務教育中。
我ながら、なかなかにこじらせたひねくれヤローだと思う。
「あ、あの……す、好き、なの」
放課後、あのマドンナに告られた。
この感情は、何なんだろう。
真っ赤な顔しててかわいい?
好きって言われてうれしい?
俺は好きじゃなくて苦しい?
……ちがう。
「ありがとう。でも、ごめん」
この変な感情は――疑念。
なんで。
どうして。
俺のどこが好きなの?
ここに本物の俺なんかいないのに。
ただ、にこにこへらへらしてるだけ。
好かれたくてやってるわけじゃない。
これは、いわば、生存本能ってやつ。
本物は、窓ガラス割りてえとか考えてるクズだよ。サイテーだろ。
見てきた俺も、俺のこと好きな気持ちも、何もかも、まやかしじゃね?
俺だって、俺のこと、好きじゃねえよ。
好きなもんなんてどこにもねえよ。
どうやって好きになんの?
なあ、教えてよ。
まやかしでもいいからさ。
ぐすぐす泣くマドンナが、心底うらやましかった。
しかたなく頭を撫でてやれば、さらに泣かれて大いに困った。
あぁ、この子も泣けるのか、と。
俺だけなんにもなれないままだ。