死んでもあなたに愛されたい






世の中、世知辛えのなんの。

もっと俺にやさしくてもいいんじゃないか、世界よ。



結局、マドンナが泣き止むまで30分近くかかったし。


つれー、つれー。
ウチに帰りたくねえー。



夕方の帰り道、歩く速度をゆるめていく。

ふと、どこからか、ギイギイ、と軋む音が響いてくる。



ギイ、ギイ、ギギギッッ……!



尋常じゃねぇ音だな!?

一体どこから……?




「ぅおりゃああ!!!」




な、何だあれ!?


小さな公園にある、大きなブランコ。

その真ん中のイスが、振り子のように揺れている。


揺れるのはふつうだ。
けど……あれはふつうじゃねぇ!!


なぜかって? それはな!

揺れすぎなんだよ!!


もうすぐ1周しちまうぞ!?


ぴんと張ったチェーンが、ギチギチ軋みながら、座板を高く運んでいく。

そのせいか、あそこだけ妙に風が立ち、砂埃が舞っている。


しかも、だ。

乗ってるのは、幼い女の子。


とことんふつうじゃねぇ……!




「いっけええええ!!」


「行くな! 行くな!」




うわ……ほんとに行っちまった。

一回転した座板とともに、勢いつけた女の子が飛んだ。


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