死んでもあなたに愛されたい
「あっ、あたしもう帰らないと!」
その後、かくれんぼ一回で終わらず。
結局、1時間強も、女の子と遊んでいた。
気づけば、辺りは薄暗くなり始めていた。
「ねぇ、お兄さん」
「ん?」
「また、あそんでくれる……?」
真っ白なランドセルをかつぎながら、女の子は弱々しく俺をうかがう。
すっかりなつかれたな。
こういうかわいさなら、俺にもわかる。
「ん、いいよ。また今度な」
「ほんと!? やくそくだよ!」
「ああ」
「やくそくだからねー!」
満面の笑みで帰っていく女の子は、姿が見えなくなるまで、「やくそく」を繰り返し強調し、ぶんぶん大きく腕を振っていた。
俺も手を振り返した。
いなくなってはじめて、口角が上がってることに気づいた。
たのしかった。
……うん。すんげー楽しかった、かも。
おかしな夢みたいな時間だった。
名前もわからない小学生の女の子と、らしくなく無邪気に遊ぶ時間。
窓ガラスを割るよりよっぽどイイ。