死んでもあなたに愛されたい
「もしよかったら、敬語をなくしてもいいですか? 佐藤さんと仲良くなりたいなと思って」
「は、はい! はいもちろんです! はい!」
仲良くなりたいな、だって! あたしと! 仲良くなりたいんだって!
舞い上がりすぎて何回も首を縦に振る。
壊れたロボットのようで引かれたかもしれない。
だが、いい。彼女のほうから仲良くなろうと歩み寄ってくれたのだから、いいのだ。ええ、そうです、あたしは今とっても調子に乗ってます。
これまでの学校生活では、はじめから、あたしが白雪組の人間だと認識されていた。
そのせいでクラスメイトからは避けられる。友だちはできない。教師からは恐れられる。厄介な目には遭う。……どうすりゃいいのさ。
だから高校は、あたしのことを知ってる人のいなそうなところに行くと決めていた。
上流階級のお坊ちゃまお嬢様が多く通う、私立白園学園の受験をばっくれて。
家から少し離れた、公立の北校を、こっそり受験した。
受験日と合格発表日の不審な行動に、兵吾郎にすぐにバレて、父さんにこっぴどく叱られたけど、後悔は一切ない。
あのときのあたしは、まちがっていなかった。
将来友だちになるであろう、一般の女の子から『佐藤さんと仲良くなりたいな』のひと言。
あたしにとっては大革命。
仲良くなりましょう! ええ! ぜひ!