死んでもあなたに愛されたい
だから、なおさら。
教室の空気にモヤモヤするんだ。
「……近い」
「痛っ!」
べしっ!
と、マユちゃん先輩の顔面に、魁運の手が当たった。
今の嫉妬!?
ねぇ魁運! ヤキモチだよね!?
キュンとしてるあたしをよそに、魁運はそっけなく離れていく。
バイクと同じ色のヘルメットで、金髪が隠された。
「え……魁運も、そのバイク乗るの……?」
「これから集会なのよ」
「集会?」
「繭。行こうぜ」
詮索を拒むように、魁運はバイクに乗りこんだ。
けたたましくエンジンがかかる。
どこに行くの? 集会って何?
ふたりはどういう関係なの? ただの友だちじゃないの?
訊きたいことは山ほどあるのに。
言葉にさせてもらえない。
「ひとみ」
無骨な手が、耳元に触れた。
ななめになっていたピン止めを直し、髪をひと束、耳にかけてくれる。
「気をつけて帰れよ」
煙をたなびかせながらバイクが走っていく。
赤いピアスがきらめいた。