死んでもあなたに愛されたい
「いってぇな。どこ見てやがる」
それはこっちのセリフだこんにゃろー。
ガタイいいくせして、か弱い女の子とぶつかったくらいで痛がるんじゃねぇよ。その筋肉は見せかけか。
「謝罪のひと言もねぇのかよ」
「…………」
「はぁ~。これだから最近のコーコーセーは困るんだよな」
「きゃははっ。それな~。そんなんじゃ社会のゴミになっちゃうよぉ?」
さっきまでそこの女、泣いてたじゃん。切り替え早ない?
男よ、そこに引っかかりを持て。女のテンションの差におどろけ。
めんどうなタイプに絡まれちゃったなぁ……。
高く見積もって、男も女も20代前半。
うつむくあたしを愉しげに見下している。
怖いもの知らずって、こういう人たちのことを言うんだろうな。
「おい! なんとか言えよ!」
とうとうキレて、男があたしの顎をつかみ上げた。
視線を下げたままのあたしに、男の顔つきが変わる。
「なんだ、けっこうかわいいじゃねぇか」
「えぇ、ちょっとぉ。ダーリンこそ浮気ぃ?」
「そんなんじゃねぇよ。ちょっと遊んでやるだけ」
この男、コーコーセーと遊びたいんだって。
えらそうにあたしの肩を抱いちゃって。
お望みなら、遊んであげようか。